宗教は誰のために

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年末になり、同室の人はみんな外泊届を出し、正月を迎えるためにさっさと帰って行った。

食事や飲酒等、多少制限があっても、守れるかどうかはさておいてせめて正月ぐらいは家で過ごしたいのだろう。

私も帰りたかったが、点滴は外せないし(先生は1日位外しても問題ないとか言っていたが、一日では・・・)帰っても飲み食いできるわけでもなく、しかも家族や親族に気を遣わせてしまう事になるので、これで良かったかもと思いつつ、正月の間せいぜい個室気分を味わおうと思っていた。

一人ならイヤホンもいらないし、消灯後(基本病室の電灯は9時に消える。各ベッドに一応ベッドランプは付いている。)遅くまでテレビやライトをつけていても問題ない。とか考えていたら、急患が入ってきた、やはり病気に盆も休みもないらしい。

この人は仕事中に倒れ病院にきたらしいが、かなり衰弱していたらしく そのまま入院となった。

なんでも肉など一切食べないベジタリアンの方のようだ。身内の方が少しでも食べるよう勧めていたが、かたくなに拒んでいた。周りの心配を無下にしても、つらぬかないといかない主義ならそれも仕方ない。

その人は以前からこの病院に通院していて胃に腫瘍があるらしく、医師がこの際だから手術をしようと説得していた。

しかし、それも拒んでいた。だが向こうも引くわけにはいかないらしく、二人の医師と婦長、看護師、親御さん等にかこまれ長々と説得されていた。

やがて渋々折れた、観念して手術を承諾した。

何日かして、手術を行った。手術は成功したが、食事をほとんど採らない。病院の食事は一切採らず、アンパン等の菓子パンを少し食べる程度だった。

婦長の話では、やはり点滴だけでは栄養量が少なく、食事をとらないと回復が遅くなるそう。実際彼が退院するまで平均の倍の日数を要したらしい。

退院後に聞いた話だが、肉類を一切断ち 食事をほとんど採らない事は、彼が信仰している宗教の教えであったそうで、手術を拒んだのも、その宗教が輸血を禁止しているためだった。(話しでは聞いた事があったが、建前上のことかと思っていた。)

今回は腹腔鏡手術で出血量も少なく、輸血をせずに手術が出来たからよかったが、もし輸血が必要になった場合、例えば生死が関係してくる場面でも彼は輸血をせず、教えに殉じるのだろうか。彼の気持ちは私には理解できなかった。

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