がん幹細胞の根絶を目指して

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がんの親玉といわれるがん幹細胞。このがん幹細胞の根絶を目指して日々、様々な研究が行われています。

がん幹細胞の特徴 がん細胞とがん幹細胞に分裂します。抗がん剤も効かないし、分裂回数も少ないため非常に長生き。

がん幹細胞は表面に特別なたんぱく質を持っています。医学的にはがん幹細胞マーカーと呼ばれます。がんの種類によってたんぱく質の種類も違います(※大腸、肺などのがんが最初に発生した臓器による)その中の代表的な一つCD44というたんぱく質があります。

例えば日本人のがんの中で死亡率が2番目に高い胃がん。この胃がんのがん幹細胞もCD44を持っています。そしてこのCD44が、がん幹細胞を長生きさせる要因の一つであることが近年の研究で判明しています。

人の体には活性酸素という物質が常に発生しています。活性酸素は細胞のたんぱく質やDNAを傷つける細胞の老化の原因の一つです。細胞の中にあるミトコンドリアが、栄養と酸素を反応させエネルギーを生み出す際活性酸素が発生します。

がん幹細胞の巧妙な手口

しかしこの活性酸素はがん細胞も攻撃するので、がん幹細胞にとっても毒といえます。しかし、がん幹細胞はこの活性酸素を巧妙な手で除去しているのです。がん幹細胞が持つたんぱく質の一つCD44、そのタンパク質にxCTという別のたんぱく質がくっつきます。

このxCTがポンプの役割をして体内に流れるシスチンという物質を取り込みます。シスチンはがん幹細胞内で、体の老化を防ぐ抗酸化物質グルタチオンに変化して活性酸素を除去するのです。

つまりCD44はxCTというポンプを固定し、安定してシスチンを取り込ませる役割を担っているのです。また、活性酸素はがんの転移にも関係しています。がんは転移する際体内の血流に乗って転移します。

そのがん細胞を白血球などが活性酸素を出して攻撃します。がん細胞はそれで排除してしまうことも可能ですが、抗酸化物質であるグルタチオンを持っているがん幹細胞を排除することができず、生き残ってしまいます。

生き残ったがん幹細胞は、新たにがん幹細胞とがん細胞に分裂して増えていきます。こうしてがんの転移が起こってしまうのです。

がん幹細胞は抗酸化物質グルタチオンをため込んで活性酸素から身を守っている。

一方で活性酸素は細胞の分裂や増殖にも使われています。活性酸素が少ないとあまり分裂しません。そのためがん幹細胞は眠ったまま。眠っていれば抗がん剤が効かない。活性酸素が少ないがゆえに長生き。 とあまりにもガードが高いのです。

研究者はがん幹細胞を根絶させるためにはポンプを止めてしまえば良いのではないかと考え研究を続け、ある方法にたどり着きました。ポンプの役割をするxCTの働きを止める薬を見つけ出したのです。

その薬は スルファサラジンといい、潰瘍性大腸炎や関節リュウマチの治療薬につかわれています。この薬はもともと抗炎症薬として使われてるので副作用もあまり心配がいらないそうです。こうした既存の薬を転用できることは素晴らしいことで、通常新しい薬を開発する場合 効き目のある物質を探して薬を作り安全性を確かめるなど治療につかえるまで10年以上かかるそうです。

 動物実験で安全性と効果の確認⇒製剤化⇒人での臨床試験⇒治療

しかし既存の薬の場合 製剤化⇒治療 と、大幅に短縮できるのです。

約2年前に効果を見出し、今年の4月より胃がん患者に投与し実際に臨床試験が行われているそうです。

また、CD44を持たず他のたんぱく質を持つがん幹細胞の根絶方法も開発されています。その一つがウイルス療法といって、人工的に作り出したがん細胞のみで増殖してがん細胞を破壊する療法です。この療法も現在東京大学で臨床試験が行われています。

黒幕が分かり 真の敵が明らかになり 的を絞り 対処が分かってきた。

 がんの根絶に向け、また一歩踏み出されました。

参考:NHK サイエンスZERO シリーズ(2) がん根絶も夢じゃない! がん幹細胞 最新攻略法

再2013年9月21日(土) [Eテレ] 昼0:30~1:00

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